さくっと読みたい方は,目次から「電波が弱いときの対処法」から読んでみて下さい.
なぜ電波が悪くなるのか,根本的な理由を知りたい方は最初から読んでみて下さい.
- 電波が弱くなる原因を知りたい方
- 電波が弱い時の対処法を知りたい方
目次
なぜ電波が弱くなることがあるのか
電波とは,アンテナから放射される電磁波のことです.
そんなに詳しく知る必要はないですが,『電波は波である』ということだけ知ってもらえば大丈夫です.
電波の特性
先ほど述べたように,電波には波の性質があります.波には以下の4つの性質があります.
- 反射/透過
- 屈折
- 回析
- 干渉
この中で電波の悪さに関わるのが,反射/透過,回析,干渉の3つの要素です.
順番に見ていきましょう.
電波の反射/透過
上の図のように,電波がある物体に入射すると,反射波と透過波が生じます.
この透過波のおかげで,ドアを閉めてもwifiが届いてくれます.
よって,家中にwifiの電波を飛ばすためには,反射波を小さくして,透過波を大きくすることが重要になります.
結論としては,周波数が小さいほど物質に対する電磁波の透過は大きくなります.
つまり,周波数が小さいほど受信状況が良くなります.
電波の回析
回析というのは,回り込むということです.
この性質のおかげで,建物などの影に隠れていても電波が届くのです.
ここで,重要なのが周波数です.周波数とは「一秒間に何回振動する波か」ということです.
通常wifiでは2.4GHzと5GHzの2種類が使われています.
周波数が小さいほど,回析は大きくなります.
回析 2.4GHz > 5GHz
2.4GHzの方が,5GHzよりも回り込んでくれるということです.
電波の干渉
干渉というのは,周波数が同じならば足し合わせるということです.
周波数が違えば,それぞれの周波数で独立した波が存在するだけです.
この干渉という性質があるため,電波には定在波というものが生じます.
定在波は少し難しいため,ここでは理解する必要はありません.
イメージとしては,部屋の中で電波が強め合う場所と,弱めあう場所が生じるということです.
強め合う場所では,もちろん電波の受信は良好ですが,弱めあう場所では電波がほとんど入らなくなってしまいます.
以前の記事で定在波のアニメーション作りましたので,興味のある方は読んでみて下さい.
上のアニメーションは,横軸が位置を表し,縦軸が電波の強さを表します.
見てみると,場所によっては電波が0だったり,電波が強い所があるのが分かると思います.
これが街の中や,家の中で起こっています.
電波が弱いときの対処法(wifi)
以上の3つの波の特性を理解することで,自ずと電波の受信を良くするための方法が分かります.
周波数が低い電波を使う
これはwifiに限る話ですが,自宅ではwifiを使う方が多いと思います.
wifiは2.4GHzと5GHzの2つの周波数が選択できます.
先ほどの電波の性質より以下のことが分かります.
- 周波数が低いと,電波の透過量が大きくなる
- 周波数が低いと,電波の回析が大きくなる
この観点より,周波数が低ければより遠くまで届く電波になります.
しかし,周波数は低ければ情報量は小さくなります.つまり,情報の伝達速度を速くしたいのであれば,周波数が高いものを利用すればよいです.
ドアなどに金属を使わない
電波の性質より,金属では透過が起こりにくくなり,ほとんどの電波が反射します.
よく「エレベーターの中では電波が届かない」と聞いたことがありませんか?
あれは,エレベーターが金属の塊で,エレベーター内部に透過する電波が少ないから生じるものです.
よって,裏を返せば金属で部屋を覆ってしまうと,それだけ電波が届かなるということです.
場所を移動する
これは,電波の「干渉」の性質により定在波が生じるため,電波が弱めあっている場所にいる可能性があるためです.
ここで少し専門的な話をしますが,wifiの2.4GHzの波長は12.5cmです.
画像のように,12.5cmの間隔で弱めあいの場所がやってきます.
そこで,少しだけ移動すれば電波の受信状況が良くなることがあります.
実際はこんなに単純化されたものではないですが,今回は簡単のため一方向に入射する電波と,反対方向に反射する電波だけを考えました.
電子レンジに注意
意外と見落としがちな所が電子レンジです.
電子レンジはwifiの2.4GHzと同じ周波数帯を用いているため,電子レンジを使っている時にwifiの電波と「干渉」を起こします.
もし,電子レンジも使いたいけどwifiも途切れさせたくない!という人は,電子レンジを下のような電磁波シールドで覆ってしまうことをお勧めします.
電波が弱い時の対処法(キャリア通信)
続いてドコモや,ソフトバンク,KDDIなどの基地局からの電波を受信しやすいような方法を紹介します.
基本的にはwifiの時の対策と同じです.しかし,基地局の通信に特有の問題があるので,その部分を解説します.
窓際に移動する
基地局の電波は,窓から入ってきます.
なので建物の内部で電波の受信が悪かったら,窓際に移動しましょう.
窓が良く電波を通す理由は,光が入ってくるのと同じ理由です.光も電磁波の一種です.
つまり,光が透過しやすい物質は電波も透過しやすいです.
基地局の近くに移動する
通常スマートフォンは,一つの基地局と通信しています.
電波が途切れないように,通信会社は沢山の基地局を設置しています.
図のように,複数の基地局が重なり合う場所では,干渉の問題が生じます.
よって,通常よりも通信の品質が落ち,電波の受信状況が悪くなります.
それを解決するためには,基地局の近くに移動するということです.
これは基地局の近くの方が電波が強いという理由もありますが,それよりも複数の基地局による混信を避けるというメリットがあります.
まとめ
いかがだったでしょうか.wifiとキャリア通信という2種類の電波が入りやすくなる方法を,電波の特性から解説してみました.
まとめてみると,
- 周波数を低い電波を使う
- 金属に囲まれた場所から離れる
- 電波が弱めあっている場所から移動する
- 窓際に移動する
- 基地局の近くに移動する
これらをやってみてもし改善されないなら,スマホの不調かwifiルーターの不調かもしれません.
私も使っている,こちらのwifiルーターは2.4GHzと5GHzのデュアルバンドなのでおすすめです.