ラズパイ4でFMラジオ送信機の作り方【FMトランスミッター】

【ラズパイ】FMラジオ送信機を作る

こんにちは! けい(Twitter)です。

今回は、ラズパイからFMラジオに電波を飛ばす方法についてまとめていきたいと思います。

いわゆる、「FMトランスミッター」をラズパイで作ります。

ラズパイから電波をとばせるノカー、知らなかったゾ

完成動画

まず、実際にラズパイ4をFMラジオ送信機として動作させた動画を見てみましょう。

音源は、NCSの楽曲を使わせて頂きました。

動画では、ラジオの音声が聞こえています。
ラズパイからFM変調された電波が出力され、それをFMラジオが受信しています。

かなり綺麗な音が出ていることが分かります。

準備

ラズパイをFMラジオ送信機として使うためのソースコードがgithubに公開されているので、そちらを使います。

FMラジオ送信機として有名なパッケージにpifmがありますが、ラズパイ4では動作しなかったので違うパッケージPi-FM-RDSを用います。

Pi-FM-RDSのインストール

git clone を使って、gitリポジトリを取得します。ターミナルを開いて、

$ git clone https://github.com/ChristopheJacquet/PiFmRds.git

実行すると、ダウンロードが開始します。

次に、ビルドするために、cdコマンドでmakeファイルがある場所まで移動し、makeします。

$ cd PiFmRds/src
$ make clean
$ make

これでビルドが成功すれば次のような結果が表示されます。

もしエラーが出力された場合、次のコマンドを実行してみて下さい。

$ sudo apt-get install libsndfile1-dev

この後、再度先ほどのmakeの手順を行います。

アンテナ

ラズパイのgpio4にアンテナとなる金属線を接続することで、電波が放射されます。

FMラジオに使われる周波数は100MHz程度です。よって、波長は3mとなります。
1/4波長ダイポールアンテナと考えると、波長の1/4の長さのアンテナが最適な長さとなります。
なので、75cmが理想のアンテナの長さとなります。

しっかりとしたアンテナを繋ぐと、電波がより強く放射され、電波法に違反する可能性があるため、理想ではないアンテナを用います

そこで、ブレッドボード用のジャンパ線を用います。

20cm程度のもので大丈夫です。

音楽ファイルの準備

ラジオとして流すための、音楽ファイルを用意します。

私の場合は、NCSのフリー音源をダウンロードしました。

ラズパイでダウンロードする必要があるため、ご自分のpcで保存してからラズパイにファイルを送るか、ラズパイのwebサイトからダウンロードするかをしてください。

ただし、mp3は再生できないので、wavファイルにする必要があります。

webサービスなどで、簡単にmp3からwavに変換できます。

音楽ファイルがラズパイに用意できたら、/PiFmRds/srcに音楽ファイルをコピーします。

上の画像の、zonbi.wav、zonbi2.wav、Puzzle.wav、Puzzle.mp3が私がコピーした音楽ファイルです。
もちろんmp3を試しましたが、再生できませんでした。

FMラジオの用意

ラズパイから放送されるFMラジオを聞くためのデバイスを用意してください。

私は、ハンディーラジオを用意しました。

ラズパイでラジオ音楽を放送する

それでは、実際に音楽ファイルをラジオで放送してみましょう。

ターミナルを開いて、先ほどダウンロードしたPiFmRdsに移動します。
ホームディレクトリに保存したものとして、進めます。

$ cd  ~/PiFmRds/src

そしたら、実際に次のコマンドでFMラジオを送信できます。

$ sudo ./pi_fm_rds -audio Puzzle.wav -freq 84

これは、「Puzzle.wav」という音楽ファイルを、「84MHz」で送信しています。

ここは好きなように変更してください。

電波法の定める規則

基本的に無線局は免許が必要ですが、免許が必要ではないものもあります。

電波法第4条の定める4つの無線局は免許が必要ではありません。

一 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの

二 二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの

三 空中線電力が一ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第四条の三の規定により指定された呼出符号又は呼出名称を自動的に送信し、又は受信する機能その他総務省令で定める機能を有することにより他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるもので、かつ、適合表示無線設備のみを使用するもの

四 第二十七条の十八第一項の登録を受けて開設する無線局(以下「登録局」という。)

出典 : 総務省 – 電波法

この中で、一つ目の「発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの」に今回のラズパイのFM無線局は該当するわけですが、より詳細に見ていきましょう。

この”微弱な電波“は電波法施行規則に具体的な数値が定められています。

電波法施行規則第6条第1項、2項の表を見てみましょう。

周波数帯 f[Hz]電界強度
f ≦ 322MHz≦500[mV/m]
322MHz ≦ f ≦ 10GHz≦35[mV/m]
10GHz ≦ f ≦ 150GHz≦3.5×f [mV/m]
150GHz ≦ f≦500[mV/m]

fmラジオの周波数帯は、表の一番上の行の 「f ≦ 322MHz」なので、500[mV/m]以下であれば、免許がいらないので合法となります。

しかし、500mV/mを超えてしまうと違法になってしまいます。

これを測定できればいいんですけど、測定機器は私のような一学生が買えるようなものではありません。

このラジオは届く距離が5m程度なので問題ないと思われます。(小声

まあ、他の家に届かなければOKでしょ。OKだよね?

まとめ

今回は、お縄すれすれ?のラズパイをFM送信機として使う方法についてまとめてみました。

皆さんもラジオ送信機として使うときは、周囲10m程度は何もない場所か、もしくは一軒家で実験するようにしてください。正確に500mV/m以下であることを測定できるなら別ですけど。

では!