屍者の帝国を読んで

屍者の帝国

今回ご紹介する本はSF小説の金字塔『屍者の帝国』です。

~あらすじ~                                   主人公の医学生のワトソンが屍者の復活にまつわる調査で諜報機関に入り、謎を解明していく。そこで待ち受けるのは最初の屍者「ザ・ワン」。彼ははるかに人智を超えた存在で屍者の正体を知っている。主人公は初めはフライデーを蘇らせることが一番の目的だったが徐々に目的が大きくなっていく。

~感想~

この本を始めて読んだのは中学生の時で、SF 小説特有の異様にカタカナが多く、諜報機関の話で全然理解できなくて読むのを諦めたことを覚えている。話の流れはそこまで複雑ではないが、この本の固有名詞が多くそれをある程度覚えてないとすらすら読めない。この本は人間には魂があって生者と死者を分けるのは魂の有無であることを前提に話を進めている。そして、物語の終盤につれて意識とは、魂とはいったい何かという確信に迫っていく。ここではその正体をネタバレになるので言わないがこの観点について私の意見を述べたい。意識は動物にあって人間にはない、人間が人間たる所以のものだという意見が大多数を占めてきた。それは、動物を人間が恣意的に扱っていて見たくないものには蓋をしたいからそう言っているんだと思う。本当は動物にも意識、魂と呼ばれるものがあって、檻に入っている食肉用の牛やひたすら妊娠させられて、ミルクを絞られる乳牛、実験用のラットなどに関心を向けるべきではないだろうか。見たいものだけ見ていてはこの世界の制御が効かなくなっていくのではないか。犬を飼っている人に犬に魂はなく機械的、生物学的に行動しているだけと言ったら怒るだろう。ではなぜほかの動物はひどい扱いを受けなければならないのだろうか。それは人類の繁栄のため、新しい技術の発展のためという人が多いだろう。でもそれを続けていたら皮肉なことに、人間は人間の心を失い機械のようになっていくのではないか、